日本に生息する4種類のナマズ

日本に4種類のナマズがいるってご存知だろうか?

生態の違いや釣り方をご紹介する。

 『なまず』という魚の名前を聞いたことがない日本人は少ないはずだ。地震を予知して大暴れすると言い伝えられる程、古くから我々日本人にとって身近な魚だが、実は日本に4種類のナマズが生息している。

『えッ、3種類じゃないの・・・?』

そんな疑問が浮かんだ方は鋭い!でも、数年前に新種のナマズが発見され、現在では日本に生息するナマズは4種類となっている。

まずは、広く知られている3種類のナマズから紹介してみよう。最も一般的で日本各地に生息しているのは『ナマズ』という名前のナマズだ。他のナマズと言い分ける為にマナマズなんて呼ばれることもある。

この記事でもマナマズと呼ぶことにしよう

体長70cm程度にまで成長するマナマズは、沖縄など離島を除く日本各地の河川中流から下流域および湖沼や用水路などに生息し、春になると田んぼや用水路に入り込んで産卵する。そのため、太古から稲作をしてきた日本人にはとても馴染み深い魚という訳だ。

そんなマナマズは田園地帯が住宅街となった現代もなお、釣り人にとって身近な存在であり続けている。例え田んぼに入り込むことができなくなっても、コンクリートに囲まれた都市型河川に適応し子孫を残しているのだ。

釣り人にとっては近所の川で夕涼みがてら釣るには丁度良い相手という訳で、カエルや小魚を模したルアーで比較的簡単に釣ることができる。大きな捕食音とともに水面を割ってルアーに食いついてくる迫力満点な釣り味がマナマズ釣り最大の醍醐味だ。

日本最大のナマズ『ビワコオオナマズ』

さて、マナマズの次に有名なナマズは『ビワコオオナマズ』だろう。名前の通り、琵琶湖・淀川水系の固有種であり、最大で130cm前後まで成長する日本最大のナマズだ。近年、一部の釣り人にとって憧れの魚とされ、釣りの対象魚としても認知され始めている。琵琶湖では1匹のビワコオオナマズを釣るのに何日もかかると言われる程、遭遇率の低い魚だ。15~20cm程度の大きなルアーをただひたすらに投げ続けた者のルアーにビワコオオナマズは食いついてくる。運よく釣り上げることができた暁には、おおよそ日本のナマズとは思えない巨体と触れ合うことができるのだ。

岩を床にして休むナマズ『イワトコナマズ』

3種類目のナマズも琵琶湖・淀川水系の固有種。岩礁帯を好む習性があり、その名も『イワトコナマズ』。文字通り岩を床にするナマズであり、僕が超音波発信器を付けて追跡したイワトコナマズは毎朝同じ岩の間に帰ってくるという面白い行動を示してくれた。ナマズと同様に最大で60cm前後まで成長するが、一般市民だけでなく普段から水辺に立っている釣り人からの認知度も低くい。イワトコナマズを狙う場合は、ルアーよりも餌釣りに分があり、ミミズやコアユなどを餌にして釣ることができる。

谷川に生息するナマズ『タニガワナマズ』

さて、気になる4種類目の新種ナマズには『タニガワナマズ』という名前が2018年に命名された。日本で新種のナマズが発表されるのはビワコオオナマズとイワトコナマズが発見されて以来57年ぶりの出来事だった。タニガワナマズは一見すると姿形がマナマズと似ている為、今まで違う種類としては認知されてこなかった。つまり、地元住民はその川にナマズが棲んでいることを知っているが、それがマナマズと違う種類とは誰も気が付かなかった…という訳だ。

外見こそマナマズに似ているタニガワナマズだが、生息する環境は異なっておりマナマズを釣り慣れている方はきっと驚くような川に生息している。タニガワという名前の通り、東海地方の谷川すなわち谷を流れる渓流のような環境にタニガワナマズはひっそりと暮らしている。因みに、遺伝学的に解析するとタニガワナマズはどちらかと言うとマナマズよりもイワトコナマズに近い種類のようだ。マナマズのようにルアーを追うこともあるが、ミミズを使った餌釣りの方が釣れる確率は高い。

今回は4種類のナマズについて簡単に紹介させていただいた。どの種もそれぞれの生態や特徴にあった素敵な名前が付けられているなと個人的に感じている。因みに、冒頭4枚の画像は上から順にマナマズ、ビワコオオナマズ、イワトコナマズ、タニガワナマズだ。