イワナの世界を旅した2022年を振り返る。

イワナという魚は、実に様々な模様を持ちコレクション要素の高い魚だ。
初めてのイッピキを求める僕が同じ種類の魚にこれ程、惹きこまれるとは……。




南は四国から、北は北海道まで

2022年は源流釣り用の釣り竿の開発をしていたこともあって、色んな山に登って色んなイワナを釣り歩いた1年だった。
今回の記事では、今年僕が出会うことができたイワナをシンプルに振り返りながらイワナの模様のバリエーションの多さをご紹介したい。


イワナのタイプについて

生息するイワナという魚は1種類だけなのだが、エゾイワナ(アメマス)、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギという4つのタイプに分けられている。
詳しくは、イワナの世界へようこそVol.1で紹介しているのでご覧いただきたい。

2022年3月1日は特殊模様イワナを求めたが…

今年の解禁日の釣行は僅か、100m程度の流程に棲むモザイク模様のイワナを求めて山を登ったのだが、なんと土砂で完全に沢が埋まってしまっていた。
唖然としたと同時に、珍しい生き物探しは、後回しにしてはいけない。いつ絶えてしまうか分からない。そう、強く実感した出来事だった。

厳冬期ならではの色を楽しむ

雪山の中からサビが綺麗に出たイワナを釣り上げた。
殆ど餌を取らなくなる厳冬期のイワナは黒ずんだ色に変色するのだが、釣り人はこの色を『サビ』と呼ぶ。
僕はサビの出たイワナも大好きなのだが夏の鮮やかな色に比べて人気が無い。

滝、伏流、その先にひっそりと暮らす橙岩魚

魚が昇ることのできない滝の上には、特殊な模様をしたイワナやその地域らしいイワナが棲んでいることがある。
いくつか滝を超え、谷底から水が消えてしまってもお構いなしに谷を稜線に向かって登った。
すると、水溜まりがいくつか出てくるので餌を垂らしてみると、橙色が鮮やかなイワナが掛かってきた。

頭の先まで模様が入るイワナ

このイワナもまた伏流の先に細々と棲んでいたイワナだ。
沢を登ればのぼる程、魚は小さくなり、釣り味は劣る。
一方で、魚が美しいことが多く、ついつい登ってしまいたくなる。
このイワナを求めた釣行記はコチラ

人工的な閉鎖区間で発生した交雑種

イワナとヤマメやアマゴの交雑種を『カワサバ』と呼び、両種が混生する場所ではしばしば釣り上げられる魚だ。
山釣りをしていればいつか出会えるだろうと思って何年も経つので、今年はカワサバの密度が多く、狙って釣れる場所を探してみた。
砂防堰が数十m間隔で乱立し、イワナの領域であるにもかかわらず、ヤマメが放流されている区間で釣りをしてみると、カワサバが掛かってきた。

細流に棲む緑岩魚

緑色の水に澄むイワナを釣り上げるとなんとイワナも鮮やかな緑色であった。
パーマークが太く、XやY、Hといった様々なバリエーションが楽しめる沢だった。
軽く跨げるほど極端に水量が少ない沢が故に、イワナのサイズは15cm程度ととても小さいのだが、僕好みの美しいイワナばかりが釣れる小さな楽園だった。

この沢は、今年釣った沢の中で一番印象的だったので、時季を変えて2度も釣り上がった。
そして出会えた、細流の小さき主と思われる個体。イワナは年を取ると模様が薄れていく。

赤岩魚と呼ばれるイワナが棲む沢へ

橙岩魚と緑岩魚は僕が一人で勝手に読んでいる愛称だが、このイワナは赤岩魚と多くのイワナフリークから呼ばれている。
鰓蓋周りが黒く、ヒレの先まで赤く、朱点も鮮やかでとても美しいイワナだった。

流紋岩魚を夏の沢で探しまわった

パーマークや斑点の乱れたイワナを特殊斑紋岩魚なんて呼んだりする。
中でも、ポピュラーな特殊斑紋岩魚と言えば流紋岩魚だろう。

流紋岩魚は、僕がイワナ探しにハマるキッカケとなった魚でもあり、数年ぶりに今年は流紋岩魚を探し歩いてみた。

一言に流紋岩魚と言っても様々な沢に生息し、言わずもがな沢ごとにどこか雰囲気が違ったりもするから面白い。
このナガレモンはかなり僕好みな模様だった。

雫紋岩魚が棲む沢と出会う

白斑や朱点がまるで滴り落ちてしまいそうな雫模様のイワナが釣れる沢との出会いもあった。
毎度、初めての沢を釣っていると、変わった模様のイワナと遭遇することもあるもんだと思わされた1日であった。

スポットレス風特殊斑紋岩魚

大学時代の仲間で山釣りにハマっている釣り人がいる。
そんな彼から面白いイワナが棲む沢があると教えていただき、釣り上げたのがこのイワナだ。
朱点が無く、白斑はとても少ない。そしてパーマークも乱れ気味だった。

水系を同じくして、違う沢筋の小さな細流に入ってみると、白斑が殆どない岩魚たちが棲んでいた。
相変わらず、水量の少ない場所の岩魚は小さいが、個性が出やすくて面白い。

多斑点岩魚と出会う

白斑と朱点がやたらと多い多斑点岩魚とも出会った。
個人的にお目当ての模様だっただけに、まさか出会えるとは。嬉しいイッピキだった。
イワナの模様について、僕は自分が直感で好きだと思うものを大切にしている。SNSでイイネが多くつくイワナや学術的に取り上げられるイワナ以外にも面白いイワナはいっぱいいる。

北海道に棲むイワナ

今年は北海道で色んな鱒類と出会った年でもあった。
大小様々なイワナがいくらでも釣れる北海道の魚影の濃さに癒された。

口裂岩魚と勝手に呼んでみる

なんとなく、口が大きく開くイワナばかりだなーと感じる沢もあった。
目立たぬ場所なのか、時季が良かったのか、沢山のイワナが釣れた。

来年も釣果に恵まれない山釣りが続いたら、癒しを求めて再訪しようかな…。
なんて思わしてくれる優しい場所だった。

毎度、自分好みのイワナが釣れる訳でもない。でも、色んな山を歩いていると思わず『おぉー』って思える魚が棲む沢と出会ったりする。
同じ種類の魚なのに、沢ごとに少しずつ雰囲気が違う魚、それがイワナだ。

来年も自分だけのイワナコレクションを増やすために、山に釣りに出かけるつもりだ。