海運の要衝パナマ運河で2種類のスヌークを釣る。

3年ぶりの海外渡航

久々の海外渡航の行先は、行き慣れたメコンオオナマズが獲れるタイ国の湖やインドネシアのジャングルと悩んだが、自分の好奇心と欲求に素直になろうと思い南米に決めた。
アマゾン川の源流とも言えるエリアに棲む、ドラードだけを狙った旅の話しはいつか書くとして、今回はこれぞアマゾンの魚と呼べる魚たちを釣り集める旅にすると決意した。

 


南米までのフライトスケジュールを考える

日本から南米までは直行便がないため飛行機を乗り換える必要がある。アメリカやヨーロッパを経由するルートが一般的だ。
休みの日数が限られる場合は、最短ルートでフライトスケジュールを考えるが、僕の場合は時間より資金に限りがあるため、できる限り安く行けるルートを探すことになる。
いくつか候補となるスケジュールが出てくる中で、パナマで乗り継ぎ時間が12時間以上もあるフライトスケジュールに心惹かれた。乗り継ぎ時間を利用して中米でも釣りを楽しもうという目論みだ。

12時間の乗り継ぎ時間で楽しむパナマ共和国

察しの良いブレコ読者の皆様ならもうお気づきかもしれないが、今回の記事では乗り継ぎ時間を利用したパナマの旅をお届けするという訳だ。
朝6時過ぎ、定刻通りパナマの玄関口であるトクメン国際空港に到着した。
WhatsAppを開き、パナマ運河での釣りを案内してくれるガイドに予定通り到着したことを伝えてお迎えをお願いする。
時代はいつの間にかアプリで世界中のesimを買える時代になっていて、飛行機が着陸した瞬間から携帯が使えるのだ。
イミグレの通過に少し時間が掛かったが、7時半にはバックパックを受け取りアライバルホールに出ることができた。
何事も遅れをとる日本でさえもキャッシュレス決済の時代だ。パナマでは両替やキャッシングさえせずにガイドの車に乗り込んだ。
とは言え、パナマの通過バルボアはUSドルそのものなので手持ちは幾らかあったのだが。

タンカーが行き交うパナマ運河

ガイドの運転する車に乗り込み、海運の要衝として世界的に有名なパナマ運河を目指す。
車が川辺の道に入ると、さっそく大きなタンカーが航行しているのが見えた。
僕にとって初めての中米、憧れの魚であるスヌークへの挑戦、超有名なパナマ運河で魚釣りをする。これだけのドキドキとワクワク感を短時間で消化できる自信を失ったところでボートランチに到着した。

6時間の短時間釣行始まる

予算的なこともあり、今回ガイドにオーダーしたのは6時間コースの半日釣行だ。
僕は1魚種1匹で満足できるタイプの釣り人なので、出船前にスヌークを複数種類とピーコックバス、そしてチャンスがあればターポンも狙いたいとリクエストした。
ガイドと相談した結果、コモンスヌークを手堅くトローリングで釣ってから、ピーコックバスを狙いに行き、ターポンは呼吸があれば狙うというプランで決定した。コモンスヌーク以外のスヌークは運が良ければ混ざる程度らしい。

スヌークは1種類だけではない

今回のパナマ釣行最大の目的魚であるスヌークという魚は、ホソアカメ属に分類され、広い意味ではスズキの仲間だ。
姿は属名の通り、アカメやバラマンディを細長くしたような形が特徴で、側線に沿って黒いラインが入る。
顔立ちは絵にかいたようなスプーンヘッドのイケメン。申し分なきカッコ良さだ。
スヌークと呼ばれる魚は北米から南米にかけて12種類確認され、太平洋と大西洋にそれぞれ6種類ずつ生息している。
パナマでは少なくとも4種類のスヌークが生息しているようだ。

開始2時間ノーバイト・・・

コモンスヌークは苦戦せず釣ることができるだろうと甘く考えていたのだが、朝マヅメに釣りができなかったことが災いしたのか、2時間トローリングをするもノーバイトという厳しい展開から始まった。
ガイドからキャスティングで岸沿いのオーバーハングやレイダウンを丁寧に打って行こうと作戦変更の提案があり、ミノーのジャーキングで倒木を丹念に狙っていく展開になった。

ピーコックバスが群れるポイント

キャスティングを続けていると、ガイドからピーコックバスのポイントに入ったと教えられる。
特段、環境の変化が感じられなかったので、何故ピーコックバスのポイントと言い切れるのか疑問に思っていると、1つのオーバーハングを指してミノーを投げろと言う。
素直に従って、ビーフリーズを投げ込むと20cm前後の魚がワラワラッ!とブッシュの陰から湧き出してきた!
冷静になって、ミノーを素早く動かすとすぐにヒット!
パナマで初めて釣れた魚は、バンドが特徴的なピーコックバスだった。

シクラ・プレイオゾーナなのか

パナマに生息するピーコックバスは、南米からの移入種であることが知られている。
下調べの段階では、パナマに生息するピーコックバスはシクラ・オセラリスであるという文章を読んでいたが、僕が今手にしている魚はどうもバンドが4本あるように見える。
他に釣れたピーコックバスやパナマ運河で釣れているピーコックバスの写真はどれも4本バンドなので、あくまでも僕の推測だが、シクラ・プレイオゾーナだと思われる。
今回の南米釣行では、プレイオゾーナの生息域には行かない予定だったので移入種ではあるものの、パナマで出会えて嬉しい気持ちになった。
この後、同じオーバーハングから湧き出るピーコックバスを楽しく釣り上げ、スヌーク狙いを再開した。

黒い側線が見えた!

6時間集中して釣りを続けていれば、どこかでチャンスが来る。数少ないチャンスを1つ1つモノにしていけば結果はついてくる。
そう自分に言い聞かせながらもスヌークが釣れない焦りが出始めた頃、表層を泳ぐミノーに魚がギラリと反転しながら食いついてきた。
冷静に魚を寄せてくると黒いラインが見える!紛れもなく憧れのスヌークだ!
ファイトを楽しむ余裕などなく、一気にガイドの網に魚をねじ込みランディング。
釣り上げてみて、僕が図鑑やアメリカの釣り番組で見慣れたコモンスヌークではないことにようやく気付いたが、どっちにしろ初めての魚に違いは無いので、思いっきり喜んでみる。

パナマでワラホと呼ばれる種類

釣れたスヌークはワラホと呼ばれ、ガイド曰く、最大でも30~40cm程度の小型種とのこと。
僕が釣り上げたこの魚は50cm近くあり、ガイドはこんなサイズのワラホは最大級だといって興奮気味だ。
サイズ感の興奮とは別のベクトルだが、狙って釣るのが難しいと思っていたコモンスヌーク以外のスヌークが釣れて言わずもがな僕も大興奮だった。
あとで調べてみると、小型種のアームドスヌークという種類のようだ。

ラスト1時間はコモンスヌークを狙ってトローリング

アームドスヌークの後は、チェイスもバイトもないまま時間だけが過ぎた。
ラスト1時間はガイドの提案で再びトローリングでコモンスヌークを狙うことに。
焦りを感じる1時間は恐ろしい程あっという間に過ぎ去り、ボートランチの近くまで帰ってきてしまった。
小型種でもスヌークが1匹釣れて良かった!そうガイドに伝えると、もうひと流しやってから帰ろうと、時間を延長してくれた。
そのひと流しも30分ほどあったのだが一瞬で時間が過ぎる。時の流れは平等とかいう話しは全く信じられないものだ。
しまいにはGoProのバッテリーも切れてしまい、まさに万事休す。
残念だけど終了だ。
あのブイを超えたら帰ろうと言われたブイを船が通過した瞬間、ギュンギュンッ!とロッドが絞り込まれた。

最後に姿を現した僕の憧れた魚

慎重に、めちゃくちゃ慎重にファイトしていると、ガイドのロッドにも魚がヒットしダブルヒット状態になった。
僕の竿に掛かっていたのは、ずっと憧れていたコモンスヌーク!ネットに納まった瞬間、全身の力が抜けてしまった。
やっぱ海外釣行は楽しいし、やめられない。ブザービーターともなれば、興奮度もマックスだ。

ガイドが掛けた魚をキャッチすることになった僕

ガイドに掛かっている魚は少々大きそうだ。僕のコモンスヌークが無事にネットに納まると、ガイドがロッドを差し出しこの魚もお前が釣り上げろと言う。
正直言って、僕の竿に掛かっていなければ、もしダブルヒットしてなければ…
ガイドの竿を奪ってでも上げさせてもらいたくなるところだが、もう僕の夢は完結していたのですぐには、ファイトを変わる気持ちになれなかった。
ところが、ガイドは『俺が釣っても仕方ないんだ!お前が釣り上げろ!』

そうやって、やけに熱心に言ってくる。というか、頼んでくる。
スピード感なく、首を振る引き方がたった今釣り上げたコモンスヌークと似ている。ただ、サイズが大きかった。引き方としてはアカメよりもスズキに近しい。スズキよりはよく泳ぐけど。
それにしても、ネットに入ると魚の大きさに驚愕した。これメーターいったんじゃね?

96cmというナイスサイズなスヌークに素直に感動

あとで、落ち着いた状況で事情を聞くと、毎日更新している釣果情報に僕が釣っている写真を使いたかったようだ。
確かに、この日は真っ昼間にしか釣りができずに釣果も振るわなかったから仕方あるまい。

『最後にネットに入れたのは僕だしね』とか冗談言いながらガイドの竿を持ち、満面の笑みでブツ持ち写真を撮影してもらった。 

決して僕がヒットさせた魚ではないのだが、96cmという大きさのスヌークを見ることができてシンプルに感動した。肉厚でメチャ重たくて、ホソアカメという名前に相応しくない体高が感じられて、相当カッコ良い。
こうなってくると、いつかスヌーク最大種とも言われるブラックスヌークにも挑戦したくなるものだ。

こうやって、僕のような釣り人は1つの目標を支払い、1つの思い出を手にする。
海外に出かけると、例えいくつかの目標を失ったとしても、次から次へと目標が沸き出てくる。

この終わりなき感覚を久々に味わえて、海外釣行を再開できて、本当に幸せだと感じた。