『安・近・短の外遊び』ハゼ釣りに出掛けてみよう。

今回の記事では、最も手軽に楽しめる魚釣りの1つ『ハゼ釣り』を紹介したい。
魚釣りの経験がない人でも、きっとハゼ釣りなら満足感の高い休日を過ごすことができるはずだ。

料亭の料理のように見栄えは良くないが、『自分で釣った魚』が一番旨い

魚釣りの醍醐味の1つに、釣りたての魚を美味しく食べるという楽しみ方がある。ただでさえ新鮮な魚に、『自分で釣った魚』という精神的調味料が加わり、魚釣りから帰った日の晩御飯は、それはもう文章に起こせないくらい至福なひと時となる。

スーパーでは手に入らない上品な食材『ハゼ』

今回の主人公である『ハゼ』の調理法といえば、やはり『天ぷら』のネタが真っ先に思い浮かぶ…のは、もしかしたら釣り人だけかもしれない。
かつては、日本各地で佃煮や焼き干で利用されてきたハゼだが、ハゼを食べる文化が薄れるのに合わせ、ハゼを獲る漁業者も減少。忘れ去られようとしている食材とも感じる。
そんな過去の食材になりつつあるハゼだが、東京では今もなお江戸前天ぷらのネタとして人気がある。
無論、決して安くはない魚としてだが。

ハゼを食べてみて欲しい

ハゼという魚を食べたことのない方は、是非この秋に釣って食べてみて欲しい。
フワリとした上品な白身魚であり、皮にはハゼ特有の香りが感じられ、他の白身魚とは一味違った趣がある。
ヨシ!今晩はハゼを食べてみよう。そう思っても残念ながらスーパーにハゼは売られていない。鮮度が落ちやすく、ヌメリがある小魚で、100g当たりの値段がタイやヒラメと同じくらい高い魚となれば、スーパーが扱いにくい食材ということも理解できるだろう。
つまり、ハゼを食べるためには魚釣りにでかけるしか他にないのだ。



ハゼ釣りに適した場所と時期

マハゼは北海道から九州にかけての河口域に広く生息する身近な魚だが、釣れる時期と釣れない時期が明確なので注意が必要だ。
地域によって多少の前後はあるものの、手軽に釣ろうと思えば7月ごろから10月までがシーズンと言えるだろう。

ハゼが釣れる場所の探し方

近所に釣具店があれば、仕掛けや餌を購入するついでに店員にハゼの釣れる場所について尋ねてみよう。もし、釣具店がない場合は、インターネットで『地域名や河川名・ハゼ釣り・ポイント』といった単語を使って検索してみよう。

例えば、『多摩川 ハゼ釣り ポイント』といった具合だ。この際、都市部の方は駐車場の情報も合わせて下調べしておくと良いだろう。

魚釣りは釣れる時間帯の見極めが重要

どんな魚釣りにも、良く釣れる時間帯と釣れない時間帯があり、海や河口域の場合は潮の満ち引きに左右されることが多い。
このように魚がよく釣れるひと時のことを“時合い(じあい)”と呼び、ハゼの場合は満潮時刻の3時間前ごろから、満潮にかけて良く釣れる場所が多い。
他にも、水深の深いポイントなどでは干潮から満ち始めの3時間に時合を迎える場合もあり、釣り場によって時合になる時間帯が異なるため、ポイント探しの際に時合についても調べておくと良い。

因みに、満潮や干潮の時刻は気象庁のHPや各種アプリで調べることができる。
気象庁ホームページ

ハゼ釣りに使用する道具

例年、夏休みシーズンに入ると、釣り具店にハゼ釣りコーナーが開設される。
店員にアドバイスを求めながら道具を選んで購入していくのだが、僕からのオススメで1つ購入しておいて欲しい商品がある。

『袖針』と呼ばれるハゼ針よりも小さな釣り針だ。大きさは3~5号を選んで欲しい。
ハゼ専用針では、食いつきが悪いような状況やシーズン序盤で、ハゼの大きさが小さい時に重宝する。僅か200円程度の出費なので、お守りとして購入しておこう。もしかしたら、ハゼ釣りコーナーではなく、川魚コーナーにあるかもしれないので店員に聞いてみよう。

釣り竿はリール竿と延べ竿(リール無しの竿)に大別されるが、よほど足場の高い釣り場でない限り、延べ竿で充分楽しめる。
長さは3.6~4.5m程度がオススメだ。長すぎる分には、竿尻の栓を抜いて短くして使用できるので、迷ったら長めの竿を購入しよう。
仕掛けは、ウキ釣り仕掛け、ミャク釣り仕掛け、ちょい投げ仕掛けに大別され、状況に合わせて使い分けることで効率よくハゼを釣ることができるが、初心者の方は延べ竿ならウキ仕掛け、リール竿ならちょい投げ仕掛けを選ぶと良い。

ハゼ釣りに使用する餌と釣果UPのコツ

ハゼ釣りの餌は、ジャリメ(石ゴカイ)という名前で売られているイソメが定番だ。ジャリメより一回り大きなアオイソメでも釣れなくはないが、ジャリメの方がよく釣れるので間違えないように購入したい。
針の長さの2倍程度に短く切って使うと、ハゼが食い込みやすくなり針掛かりする確率がUPする。
生きたイソメは触れません!という方は、スーパーで売られているボイルホタテがオススメだ。生ではなく、“加熱済み“のホタテの方が針に刺しやすいのでこちらもお間違えの無いように。

ハゼ釣りのコツはとにかく川底に餌を置くことに限る。特にウキ釣りでは必ず、ウキの位置を調整してから釣りを始めよう。
潮が満ちてきたり、釣り座を少し移動したらその都度、ウキの位置を調整する癖をつけよう。
ちょい投げやミャク釣りでは、仕掛けを入れっぱなしにして待つのではなく、少しずつ仕掛けを引きずったりしながら餌に動きを与えることが釣果を挙げるコツ。
ハゼは動く物に興味を持つ性質があるためだ。

ハゼが釣れない時の対処法

よく釣れる時間帯、すなわち時合を迎えた状態では、悩むことなく餌が着底するや否や簡単にハゼが食いついてくるのだが、釣れにくい時間帯に釣行してしまうとあれやこれやと試行錯誤したくなる。


釣れていない時に試して欲しいことは以下の通りだ。
・こまめに移動しながら釣りをする
・餌を頻繁に交換する
・根掛かりに注意しながら仕掛けが川底を張って動くように少し引っ張ってみる
・釣り針を小さくする
・周囲の釣り人を観察し、釣れていればアドバイスを求めてみる

最後に、ハゼを鮮度良く持ち帰る為のコツ

冒頭でお伝えした通り、ハゼは鮮度が落ちやすい魚なのでクーラーボックスと氷を忘れずに持って行こう。
向かって左側3尾はやや鮮度が落ちてしまったハゼ、右側3尾は氷締めをした上でしっかり冷やして持ち帰ったハゼ。写真のように白くなってしまっても、天ぷらで問題なく食べられるが、こうして見比べると、せっかくならば鮮度良く持ち帰りたいものだ。
釣り場についたら、少量の海水をバケツで汲んでクーラーに入れ、海水氷を作り、釣れたハゼを氷締めにすると鮮度良く持ち帰ることができるので是非、試して欲しい。


最後に、ハゼは棲んでいる環境によって稀にドブのような匂いをある感じることがある。特に都市型河川は要注意だ。
そんな場所で釣ったハゼを捌く場合は、胃や腸といった消化管をできるだけ傷つけないように丁寧に内臓を取り出し、開いた後にしっかり水道水で洗うように心がけよう。